ルイジのつづる、あふたーすとーりー

ルイことルイージアの気まぐれ日常物語。…結構不定期。

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おはよー。

雨、凍てつくような寒い夜、生暖かい液体。

 傘もささないでいる少女の前の噴水のようなソレは、原型をとどめることなく、赤い液体を、ただただ流していた。


 張詰めた空気。
 その中で彼女は、小さく笑っていた。

******


 「……?」
 外が、騒がしい。いつもこの時間は、天気予報を告げるアナウンサーの音と、小鳥のさえずりだけが支配しているはずだった。だが、今日はシャッターを切る音、人々のざわめき、そしてサイレンの音。つまるところ、警察が来ていた。
 「……」
 何だろう。無性に見に行きたくなる。人間の性だろうか。私――碓氷史枝は、こういった自分の現代人っぽさが、嫌いだった。気分が下がる。朝から迷惑な話だ。
 だが、そのうち解るだろう、と、適当に結論付けて、私は制服の袖に手を通す。
 「……」
 そしてまた、その制服の防寒性の無さに、気分が下がった。いや、まるでシスターのように、黒を基調とした質素なそのデザイン自体は気に入っていて、事実その制服着たさに、私は今の学園への入学を決めたのだった。
 ……決めたのだが。やっぱり見るのと行(や)るのは違うようで、ちょっと後悔した。
 しかし、上にはストールをかけることができるし、学外であれば、コートの着用も認められていた。
 といっても、実際にコートを着用する人は少なかった。それは、せっかくのデザインが隠れるから、という理由の人もいるのだろうがそういうわけでなく、ただ単に学外から通う生徒が少ないからだ。
 私の通う学校には敷地内に寮があり、その安さとホテルのような設備の良さから、下宿生の方が少なかった。もちろん、私も寮生だった。
 しかし1ヶ月前、寮が全焼するという、原因不明の事故が起きた。……事故、だという話だった。
 そういうわけで、私は家から登校する生活を送っていた。
 もとから家は近く、学校まで走れば3分ぐらいの距離にあった。だから、さほど不満は無かった。
 「……さて」
 と、ガラスと金属の引き戸を開け、外に出る。
 「……っ」
 1月の空気は、やっぱり寒かった。
 ふと、空を見上げる。
 雪が降りそうな雲だった。そういえば、今日は天気予報を確認してなかった気がする。
 胸騒ぎを胸に、私は学校へと歩みを進めた。


――◇――


 早朝、けたたましく鳴るそれを止めるために、わたしは手を伸ばした。
 伸ばして、後悔した。もとより、こんな時間の、わたしへの電話の用事なんて、決まっていた。音は止まっていた。
 仕方なく受話器を耳に当てる。「おはよー、起こしちゃった?」そんな、歳不相応に幼い声を聞きながら、私は現実を認識していった。

 玄関の鍵を開けると、すぐにドアが開き、
 「おっはよー!って、わー、何その頭。もしかして寝起き?」という声とともに、小さな女の人が入ってきた。
 ……というか、「寝起き?」とは何だコイツ。ほんの2分前に自分が電話で起こしたことを覚えてないのか。というか、何でそんな元気なんだ。まだ5時、外も暗い。よく小さい子供が朝から元気に騒いでるのを見るが、まさに今そんな感じだ。
 まだ半覚醒だった頭で、ぼーっとそんなことを考えている隙に、その小さい大人がドアを閉め、部屋へと入っていく。
 「……相っ変わらず何にも無いね。うわ、冷蔵庫の中も空っぽ。お酒ないのー?」
 そんなことをいいながら、小さい大人は部屋の中央にある背の低いテーブルに足を入れるようにして寝転がる。
 だんだんとはっきりしてきた意識で、わたしはそれを眺め、
 「で、なんのよう? 真由姉」 漸く、挨拶をした。
 小さい大人――真由姉は体を起こし、
 「とりあえず、お酒買って来てー」
 とか言って来た。

 「……ただいま」
 わたしは手にコンビニのビニール袋をぶら下げて、家に帰ってきた。
 「おかえり。まってたよー」
 真由姉はテーブルに伏せていた顔を上げると、こちらにその幼い顔立ちを向けた。
 「……まぁ、おまえじゃ買えないだろうね」
 と、ちょっと仕返ししてみる。
 「何か言ったー?」
 ……きっとホントに聞こえてなかったのだろう。間延びした声が返ってきた。
 「いや、なんでもないよ。ほら、これでよかった?」
 わたしはお酒なんて飲まない。だから、何を買ってこればいいのか解らなかった。だから、適当に買ってきてしまった。たくさんの種類を飲むのは良くないというので、1種類に絞ったが。
 「うん、大丈夫。ありがとー」
 「そう、よかった。で、用事って?」
 そろそろ本題に入りたかった。朝早く起こされ、買出しに行かされて、特に無しだったら、電話会社 に相談しようと思う。
 「あれ、何にも気付かなかった?」
 ……なんのコトだろう。「気付かない?」と、現在形じゃないってことは、買出しに意味があったのだろ うか。……わからない。
 「いや、特になにも……。というか、まだ外は暗いんだ。何か落ちてても気付かないぞ」
 「そっかー、いや、貴方は敏感だから、気付くと思ったんだけど……」
 そういわれても解らない。敏感……ね。
 「そういわれても解らない。何だった?」
 真由姉の顔が上がる。そこにはもう、幼さは残って居ない。つまり、真剣な話だということだろう。
 わたしは、真由姉の話を聞くため、テーブルの向かい側に、腰を下ろした。

 「簡単に言えば、殺人があった。」
 「殺人……って、わたしに関係するのか?」
 「いいから最後まで聞きなさい。」
 ……まさか、真由姉に窘められるとは思っていなかった。黙って聞くことにした。
 「現場はすぐソコの通り。私たちの調べでは、通り魔ってことになってる。刃物で、腹部を一突き。まだ司法解剖がすんでないから、具体的なものは解らないけど……。でもね、傷口から、おそらく”槍”だろうって。目撃証言もあるし、信憑性は高いかも。」
 「……って、”槍”? そんなもの持ち歩いてたら、すぐに犯人割りだせるだろ。おい、仕事しろよ、警察」
 「だから最後まで聞きなさい。私たちもまさか凶器が”槍”だなんて思ってない。だって、この国で槍が買える店なんて、そうそうありはしない。でも、目撃証言があるのは事実だし、あの大きさの傷じゃ、槍だといわれても信じれる。だから……、わたしに回ってきたの。でも、わたしだけじゃ心細いから。貴方にも協力を頼みたい。どう、引き受けてくれる?」
 ……何だそれは。だけど、まぁ、何となく解った。それに……わたし――炎條有花は、そういった怪奇なコトに首を突っ込みたくなる、厄介な性格をしていた。
 だから、
 「どうせ、今回も拒否権はないんだろ? いいよ、手伝ってやる。」
 「そう。助かるわーっ」
 真由姉は無邪気に笑っていた。
 「よし、それじゃ、とりあえず現場を見てこようかな。マスコミは?」
 「まだ居ないと思う。場所は……」

 場所は、さっき行ったコンビニへ行く大通りを、僅かに外れたところだった。
 そこは人通りも少なく、また、明かりも少ない。まさに、絶好の場所だったようだ。5時半を回った今でも、付近の家の灯りは消えたままだ。道は細く、幅やく1メートル半、といったところだろうか。自動車がすれ違うことはまず無理だろう。大通りの反対側はビルによって阻まれ、行き止まりになっていた。……通り魔、なのだろうか。いや、通り魔とは、そんなものなのかもしれない。しかし……。
 そんな違和感を覚えながら、わたしは現場へと近づく。丁度ビルの真下。壁にもたれるように血痕がついている。槍で刺す、ということは、丁度、この辺の位置――

 と、まさに、黄色いテープ付近に来て、わたしはそれを嗅ぎ取った。
 つまり、そういうことだった。少なくとも、普通の事件ではなかった。

 ――――異。

 背筋がぞくぞくとする。有花は、久しぶりのその感覚に、悦びを感じていた。


 「……十分だろう。後は、警察の仕事だ」
 わたしは、帰路についた。




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  1. 2009/08/17(月) 05:07:29|
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